前書いてたものの書き直し。ただ垂れ流すだけのどうでもいいような小説部屋。なんとも言いがたい内容を作ってます。
COmayo-29
Starrain:16
2008年 08月 01日 (金) 21:45 | 編集
 翌日、定期朝礼が行われた。週に1回、朝の全校集会が行われ、眠い目を擦り
ながらも生徒達は律儀に参加していた。そこでヴィルナードは、ルノと屋上で顔
を合わせていたらしい人物を確認する。
 ルノはステージ上で挨拶を兼ねて定時連絡をする生徒を目の当たりにし、あい
つだ…と呟く。隣に居たヴィルナードは、意外過ぎる相手に目を見開いた。
「あいつかよ…」
 教師、生徒共に評判がいいらしいと噂をされる真面目な生徒会長。眼鏡をかけ
、殊更に聡明に見え、ビジュアルもそこそこ良く、女子生徒に人気のある青年。
 嫌味な奴だと男子生徒からやっかみの声が聞こえたりする位の才色兼備な生徒
だった。
「確かにやりづらそうな相手だよな」
「知ってたのか」
「評判良すぎるんだよな。あいつに何かされたっつっても、信じてくれるかどう
か」
「………」
 ルノは目を細めて壇上の生徒会長を見ていた。あの時の嫌な気分はあながち外
れでもないようだった。似ていたというか、同じ系統なのだ。
 憎んでも憎んでも尚足りない従兄弟に。
 朝礼が終了して、教室に戻っていく生徒達の中、ヴィルナードはその生徒会長
を見ていた。教室に戻ろうと足を進め、既に体育館を出ていたルノは、側に彼が
居ない事に気付き、ふと足を止めた。

 その物を言いたげな視線に気付いたその生徒会長は、ヴィルナードを見る。不
躾な相手に向け、用があるのかと問い、おざなりに笑顔を向けた。
「昨日あんた、屋上に居ただろ」
「………」
 喧嘩腰になるべくならないように口調に気を使いながら、ヴィルナードは相手
に聞く。
「居たけど…何か?」
 優しい笑顔をしつつ、突き放すような言い方だった。生徒会長というだけあっ
て、自分の言動や行動に自信があるように見受けられた。
「昨日の事知ってんだろ」
 段取りが面倒で核心を突いた。
 きょとんとした顔をすると、相手はふふっと笑いを吹き出す。
「ここで話す事じゃないんじゃない?」
「なら移動してもいいよ。評判を落とされるような事なんか他の人に聞かれたく
ないだろうしさ」
 刺のある言葉を、彼は聞き逃すはずはない。一瞬ムッとした顔を向けると、じ
ゃあそっちに行こうかと壇上の方を指さした。
 面識は無い訳ではなかった。
 何回か合同授業で一緒だった事があり、タイプが違うのでお互いに話をしたこ
とはないが、違う意味で目立っていたので顔と名前は知っている位だった。
 壇上の横側には物置がある。2人はそこに入ると、声が漏れないようにスライ
ド式のドアを閉める。
 閉めた音と同時に、ヴィルナードは口を開いた。
「…とりあえず聞きてえんだけど」
「うん」
「ルノに無茶言っただろ」
「無茶?」
 何の事かなあ…と彼はとぼける。
「昨日一緒に居たのは、あんただったって本人が言った」
「へえ」
 あまり興味なさそうな顔をし、無造作に物置に置いてあった跳び箱に腰をかけ
た。
「その人に頼まれたの?」
「…嫌な事をされたからあんたをどうにかしろなんて、あいつが言うわけないじ
ゃん」
 気をつけないと喧嘩腰になりそうなヴィルナードとは逆に、彼はその子の事、
よく知らないからねとにっこりと微笑んだ。
Starrain:15
2008年 08月 01日 (金) 21:44 | 編集
「誰かに力を見せてって言われたらしいんだよ。ルノは力を見せるのが嫌なタイ
プだから、無理に出させたみたいだ」
 ヴィルナードはルノを庇った。自分の持つ能力にコンプレックスを抱いていて
、出したがらない彼が見せびらかすような真似などする訳がない。まだ短い付き
合いだが、そんなタイプではないことはよく分かっていた。
 ルノは「いいよ」とヴィルナードを制すると、ゆっくりと立ち上がった。掴ま
れた腕がまだ痛んだが、幸いヒビなどは入っていないようだった。
 力を出した為か、ルノは酷い頭痛を感じた。頭の芯から響くそれは、力を使う
と毎度のように現れてくる。頭を押さえ、教室に戻ろうと歩きだすが、数歩歩い
た瞬間に目の前が真っ暗になった。
「ルノ!」
 ヴィルナードは均衡が取れなくなったルノを見て、すかさず倒れないように支
えに走る。自分でも強く感じる力を使い、耐え切れない疲労が出たようだった。
 そのまま、気絶してぐったりするルノを抱きかかえ、保健室に行ってくるわと
心配そうに見る教師に伝えた。

 忌まわしい場所に居る夢を見た。かび臭い物置小屋にルノは突っ立っていた。
滅多に人が入る事がない場所。無駄に広く、置かれているものも綺麗に整頓され
ていて、妙にがらんとしていた。
 物影から呼ぶ声がして、動きたくないのに勝手に足が動く。薄暗いその場所に
行くと、優しい表情をした従兄弟が手招きしていた。
 …あの頃の記憶そのままだった。
 消そうとしても消せない、残酷な記憶。
 引き寄せられ、これから何をされるのか分からずにされるがままになる。優し
かった相手が、本性を剥き出しにしてきた。
 口を塞がれ、動く事も出来ずに相手の気が済むまで弄ばれる。今までの優しさ
はこの時のためだったのかは分からない。
 気が済むと、彼は身を整えてルノをそのまま放置し去っていってしまう。心身
共にボロボロになったルノは、放心したまま物置小屋に置き去りにされた。
 やがて再び従兄弟が小屋に現れ、ルノを好きなだけ玩具のように扱い始めた。
今までの鬱憤を晴らすように。
「これでお前は俺から離れられない」
 呪文のような言葉を耳元で囁かれ、そこから意識が飛んだ。
「……!!!」
 ハッと目を覚ます。
「あ、起きた?あれから保健室でも全然起きねえからさ、寮まで連れて帰ってきたよ

 相変わらずの呑気なヴィルナードの声。悪夢に悩まされていた為か、新しい制
服のシャツが汗だくになっていた。
「うなされてたよ。大丈夫?」
「大丈夫…」
 休んだためか、頭痛は無くなっていたが体の怠さと腕の痛みが残っていた。汗
だくで張り付くシャツが気持ち悪くて、ルノはシャワーを浴びてくると一言言う
と浴室へと向かった。
 ルノがシャワーを浴びている間、ヴィルナードは雑誌を読んでいた。若者向け
の雑誌が大好きな彼は毎回欠かさず購読している。夢中になって読む程好きだが
、屋上でルノと会っていた相手は誰だったのか気になっていてろくすっぽ目を通
していなかった。
Starrain:14
2008年 07月 30日 (水) 19:24 | 編集
「その研究室出身の力、見せてよ」
 有無を言わさぬ口調。ルノは相手を睨み、拒否の言葉を吐く。使ったとしても
、お互い嫌な気分になるのは経験上分かっていた。引かれるのは重々承知だった

 男は掴んでいる手に力を込める。
 激しい痛みがルノの身を責めた。
「いっ……!」
「俺の能力、『腕力』なんだよ。まだ加減はしているから大丈夫」
 ミシミシと音が聞こえる。優しい口調とは裏腹に、掴む力は増していった。
「どんなものか見てみたいんだ」
 ルノは呻き、感情にまかせて能力が発動しないように気を使うので精一杯だっ
た。 催促と同時に耐え難い痛みが走る。
「ほら、早くしないと骨が折れちゃうよ」
 楽しむかのような口調をする相手。ルノは酷すぎる痛みに、一瞬意識を失う。
気が緩んでしまったその瞬間、その押さえられた力は暴走し、近くにあった水道
管に直撃した。

 眠気が襲いかかっていたヴィルナードは、その異常な音が聞こえたと同時に目
を覚ます。授業中にも関わらず、生徒達は非常用のベランダから音が聞こえた上
を見ていた。あちこちに飛び散る水しぶきが見える。
 まさか、と即座にヴィルナードは教室を出て、屋上まで走った。

「あんたがやったのか?」
 破裂した水道管を見ながら、男はルノに問う。研究室出身の生徒は危険な能力
を持つと聞かされていたが、ここまでだとは思わなかったようだった。
 ルノは答えず、放心したまま動かない。一瞬の気の緩みで出したくもない力を
発動させてしまった事に、ひどく罪悪感を感じていた。
 やがて騒ぎを聞き付けてきたらしい多数の足音が聞こえてくると、男は違う出
口からその場を立ち去ってしまう。
 交代するようにいち早く屋上にやってきたヴィルナードは、ルノの姿を確認す
ると真っ先に彼の元に飛んできた。
「ルノ!」
 しばらくぼんやりと虚空を見つめていたルノは、ようやく自分を呼ぶ声に気付
く。あたりを見回すと、ヴィルナードにあいつは?と質問をした。
「あいつ?」
「痛っ…」
 腕が痛い。幸い、ヒビは入っていないようだった。ヴィルナードは誰かと一緒
だったのかと問うと、ルノは頷いた。
「力を出せって言われて抑えてたけど気が緩んでしまった…」
「ヴィルナード!まずこっちを直してくれ」
 野次馬と一緒にやってきた教師が、ヴィルナードに声をかけた。そりゃそうだ
なと、彼は持ち前の修復能力を発動させる。
 修復能力に関しては優秀のその力は、水道管をみるみる破裂前の姿に変えてい
った。
 騒ぎが収まり、野次馬の生徒達に戻れと命じた後、ようやく教師はルノの元に
やってきた。
「何があったのか分からんけど、むやみに力を使うもんじゃない」
 使いたくて使った訳ではなかった。ごく当然な注意だったが、今の状況下では
理不尽にしか聞こえない言葉を、ルノは黙ったまま聞いていた。反抗する気力も
失せていたのだった。
Starrain:13
2008年 07月 30日 (水) 19:23 | 編集
 ルノは教室を出て、少し離れた場所にある非常階段に軽く休憩に出た。日は当
たらないが、寒さは感じられず暖かな風が心地よかった。
 所々ではしゃいでいる生徒の声が聞こえて、他と変わりがない昼休みの風景だ
った。ぽかぽかと暖かな空気に包まれ、外を眺めながらも眠気に襲われる。
 ふと、階段を見ていると、屋上に行けるのだろうかと興味が湧いた。ルノは眠
気をおさえながらもしっかりとした足取りで、上へと向かった。
 光が差し込むと同時に、見慣れない屋上の景色が目に飛び込んでくる。柔らか
い日差しと緩やかな風がルノを優しく撫でた。
 いい穴場でありそうなのに、人気もなくやや寂しい場所だったが、ルノにとっ
ては都合のいい所だった。ボイラー室のような小さなコンクリートの建物の影は
、日当たりも避ける事も出来て抜群の風の通り道だった。
 ひんやりとした地面に寝そべると、ゆっくりと彼は目を閉じる。
 ここ数日の自分の身に起きた環境の変化に、少し疲労を感じていた。そのせい
か気がつくと、無防備に眠りに入ってしまっていた。

「…いねぇわ」
 教室から出ていったきりのルノを探しに、あらゆる所を探しに出ていたヴィル
ナードは、丁寧にセットした黒い短髪をかきむしるようにしながら呟く。
 リコは溜息をつきながら、「たまにはうるさいあんたから離れたいんだよ」と
きつめの一言。
「どこかに行くって一言くらい言ってくれてもいいのになあ…」
「親かあんたは」
 慣れない場所に一人で居て、変な輩に絡まれやしないかとか、ケンカなどして
いないかとか、まさか教室に戻れないのではないかとか考えていた。
 とにかくさ、とリコは宥めるように落ち着きのないヴィルナードに言う。
「そのうち帰ってくるって」
「ですよね…」
 いじける顔を見せている『相棒』を見ながら、リコはルノにのめり込み過ぎな
のではないのかと心配になっていた。

 どれくらいの時間が過ぎたのかは分からない。ふと、光が差し込んできて、眩
しさにルノは目を開ける。
 気配を感じて体を起こすと、「ああ、起きたんだ?」と聞き慣れない男の声が
耳に入ってきた。ルノは声のした方向を見ると、見知らぬ男が側に座っていた。
「…誰」
 寝起きの為か、不機嫌そうなルノの言葉に男は目を細め、やがてにっこりと微
笑んだ。
「ここね。俺が見つけた穴場なんだ」
「………」
「逆にこっちが聞きたいんだけど」
 穏やかに言う口調だったが、押しが強い言い方だった。ぱっと見て、真面目そ
うで大人しい感じの生徒に見えたが、見かけによらず気が強いらしい。
 ルノより幾つか年上に見えた。骨格も細いなりにしっかりしていて、少年とい
うよりは青年に近い。
「…たまたまここに来ただけだけど」
「…そう」
 にっこりと微笑むが、彼はいきなりルノの体をガシッと掴み、壁に押さえ付け
た。
「何…っ」
「研究室から来たんだよね」
「………」
 逃れようにも相手の力が強く、動くと痛みが走った。ルノは顔を歪めながら自
分より大きな男を見る。
 何を言いたいのか分からずに、離れようと身をよじった。不意に大嫌いな従兄
弟を思い出し、言いようのない恐怖を感じる。
Starrain:12
2008年 07月 30日 (水) 19:21 | 編集
 普通の制服を着用して、前よりは他の生徒に溶け込んできたルノ。だが、ヴィ
ルナードやリコ以外のクラスメートとは仲良く話をすることはなかった。元々、
親しみやすい性格ではなかったから、そんなに困る事ではない。他の人間と仲良
くする事自体に、ルノは興味を持てなかった。
 研究室出身というだけで他の生徒から敬遠されているのもあった。興味本位で
も寄り付こうとする者はあまり居なかったのだ。ヴィルナードやリコが居なけれ
ば、間違いなくルノは孤立しているだろう。
 担任教師の計らいで、ヴィルナードの後ろに席を設けられたルノは、毎度とい
っていい程ヴィルナードと行動を共にしていた。正確に言えばどこへ行くにもヴ
ィルナードがくっついていた。
「ルノは兄弟とかいねぇの?」
 暖かな日差しを浴びながら過ごす昼休み中に、唐突にヴィルナードはルノに問
う。いきなりの質問を受けて、ルノはきょとんとした顔をヴィルナードに向けた

「ほら、こういう情報収集から始まるじゃんか。お友達になりましょーって」
「情報収集してから友達申し込む人なんか見たことないよ」
 見るからに甘そうな紙パックのジュースを飲み干しながらリコは突っ込む。机
を人数分くっつけて、お互い向かい合う形で会話していたが、ルノだけはあまり
話をせずに聞いているだけだった。
「難癖つけるなよ」
「突っ込んだだけだろ」
「…居ないよ」
 ようやくルノは口を開いて答えた。
「一人っ子なのかあ」
 彼の事をまた一つ知る事ができて、ヴィルナードは嬉しい気持ちが湧いてくる
のを感じた。
「あれ…だったらあの人は兄弟じゃないって事か」
「あの人?」
 リコは誰のことか分からずにヴィルナードに問う。
「ルノの保護者役をしてる人。俺てっきりお兄さんかと思ったよ、年齢的に」
「へえ…」
「大人な感じだよな」
 思い出しながら、ヴィルナードは笑った。一応20歳を越えているが、彼はま
だ子供みたいに見られがちだった。騒がしい性格が災いしてそう見られてしまう
かもしれない。
「…そう思うのか?」
 ルノは眉をひそめながら、妙に否定的な意味合いを込めて問う。
「俺にはそう見えたけど…違うの?」
「あいつ程裏表の激しい人間なんか見た事がない」
 そう吐き捨てると、彼はゴミを捨てるために立ち上がった。ヴィルナードは、
何故ルノがあの保護者役の男を毛嫌うのかよく分からなかったが、余程嫌だとい
うのは理解できた。
「…聞いちゃいけない話題だったんじゃない?」
 リコはルノの後ろ姿を見つつヴィルナードに小声で問う。
「そうかなぁ」
 何故嫌がるのかも分からないしな…と頭を欠く。思慮不足だったかもしれない
が、思ったことを口に出してしまうために、気が付いたら後の祭りだったりする
のだ。
「ルノって不思議な感じがするね」
 ぽそりとリコは呟いた。
「何か空気が他の奴と違う」
「??浮いてるってこと?」
「浮いてるってか…何か消えそうな感じがするわ」
 同年代の男子生徒のような、生き生きとしたオーラのようなものが見受けられ
ない。線が細く、中性的なルノは彼らと比較すると儚く見えてしまう。
 若いくせに、もう何かを諦めたような表情しかしないようなルノ。あまり見な
いようなタイプの人間だった。
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