2008年
05月
08日
(木)
19:53 |
編集
いきなり顔を洗うのかよ、とヴィルナードは不思議そうに思った。水の音を聞
きながら、訳の分からない奴だなと腰を下ろしていたベッドに寝転がる。
洗顔を終えたルノは、無表情で戻ってきた。
「汗でもかいたの?」
「?」
「いきなり顔洗うし」
ああ、とルノは鞄から中身を出してその疑問に答えた。
「あいつに触られたからな」
嫌悪が入り混じる声音。
ヴィルナードはむくっと起き上がると、「へえ…保護者なのに嫌なんだ?」と
続けて聞く。居てくれるだけで安心なのではないかと、孤児である彼は思ってい
た。
「勝手に言ってるだけだ」
「兄弟とかじゃねえの?」
冗談じゃない…とルノは呟くように言うと、小さめのクローゼットに自分の物
をしまい始める。
「…触られただけで洗うって余程嫌いなんだろな。別に何かされた訳でもなさそ
うなのに」
深い意味はないつもりで言ったヴィルナードだったが、ルノは微弱な反応をす
る。
「あんたは詮索好きなのか」
「別に。これから付き合うのに仲良くなきゃ意味ないじゃん?言いたくないもん
なら言わなくてもいいし、聞きたいとも思わねえよ。ただ疑問に思っただけ」
「…昔から嫌いなだけだ」
「へえ。異常なまで嫌ってるみたいだな」
「異常な位嫌いだと思えばいい」
答えるのが面倒なのか、答えたくないのか分からないが、ヴィルナードはそれ
以上追求するのはやめておくことにした。
最初から揉めるのも嫌だ。
「結構喋る?」
「?」
「あんた最初、無表情で何も言わなかったからさ。無口な奴なのかなと思って」
「聞かれれば答えるだけ」
空になった鞄をクローゼットの下に入れると、ルノはヴィルナードをようやく
見る。外見からしてうるさそうなタイプだと、彼は思った。好きになれそうにも
ない。
いらないことを言えば延々と語りそうな口やかましい性格っぽく見えた。外見
で判断はしたくはないが、そう感じる。
「わかんない事があれば何でも言ってくれよな。何か知らないけど、適役俺みた
いだしさ。仲良くしとこ」
「…あんたは俺が怖いとかは感じないのか?向こうから来たのに」
向こう。異端者の集まりとされる場所を指して、ルノはヴィルナードに問う。
いいイメージが沸かないであろう場所から来た者を、好奇な眼差しで見る生徒が
多数居たことは、短期間であれどその場所に居た彼自身よく感じていた。
ただでさえこの学校は特別扱いで見られがちで、その中でも異種生徒であった
ルノ。研究室の生徒は、シャツの襟章と袖口の赤いラインで判別されていた。普
通の生徒からは敬遠されがちの外見だ。差別の対象になるのではないかと教師の
間では話し合いが幾度も繰り替えされていたが、感情のコントロールができない
生徒からの対処方法の一環にもなっていた。
「なんで?」
けろっとしてヴィルナードはルノに逆に問う。
「なんでって…」
想像もしない返事を受けて、ルノはどう対応するか分からず詰まった。
「まだよく知りもしない相手が怖いなんて変じゃね?」
当たり前のように答えるヴィルナード。普通の生徒のイメージで、てっきり敬
遠していくのかと思っていたルノは呆気にとられてしまう。
きながら、訳の分からない奴だなと腰を下ろしていたベッドに寝転がる。
洗顔を終えたルノは、無表情で戻ってきた。
「汗でもかいたの?」
「?」
「いきなり顔洗うし」
ああ、とルノは鞄から中身を出してその疑問に答えた。
「あいつに触られたからな」
嫌悪が入り混じる声音。
ヴィルナードはむくっと起き上がると、「へえ…保護者なのに嫌なんだ?」と
続けて聞く。居てくれるだけで安心なのではないかと、孤児である彼は思ってい
た。
「勝手に言ってるだけだ」
「兄弟とかじゃねえの?」
冗談じゃない…とルノは呟くように言うと、小さめのクローゼットに自分の物
をしまい始める。
「…触られただけで洗うって余程嫌いなんだろな。別に何かされた訳でもなさそ
うなのに」
深い意味はないつもりで言ったヴィルナードだったが、ルノは微弱な反応をす
る。
「あんたは詮索好きなのか」
「別に。これから付き合うのに仲良くなきゃ意味ないじゃん?言いたくないもん
なら言わなくてもいいし、聞きたいとも思わねえよ。ただ疑問に思っただけ」
「…昔から嫌いなだけだ」
「へえ。異常なまで嫌ってるみたいだな」
「異常な位嫌いだと思えばいい」
答えるのが面倒なのか、答えたくないのか分からないが、ヴィルナードはそれ
以上追求するのはやめておくことにした。
最初から揉めるのも嫌だ。
「結構喋る?」
「?」
「あんた最初、無表情で何も言わなかったからさ。無口な奴なのかなと思って」
「聞かれれば答えるだけ」
空になった鞄をクローゼットの下に入れると、ルノはヴィルナードをようやく
見る。外見からしてうるさそうなタイプだと、彼は思った。好きになれそうにも
ない。
いらないことを言えば延々と語りそうな口やかましい性格っぽく見えた。外見
で判断はしたくはないが、そう感じる。
「わかんない事があれば何でも言ってくれよな。何か知らないけど、適役俺みた
いだしさ。仲良くしとこ」
「…あんたは俺が怖いとかは感じないのか?向こうから来たのに」
向こう。異端者の集まりとされる場所を指して、ルノはヴィルナードに問う。
いいイメージが沸かないであろう場所から来た者を、好奇な眼差しで見る生徒が
多数居たことは、短期間であれどその場所に居た彼自身よく感じていた。
ただでさえこの学校は特別扱いで見られがちで、その中でも異種生徒であった
ルノ。研究室の生徒は、シャツの襟章と袖口の赤いラインで判別されていた。普
通の生徒からは敬遠されがちの外見だ。差別の対象になるのではないかと教師の
間では話し合いが幾度も繰り替えされていたが、感情のコントロールができない
生徒からの対処方法の一環にもなっていた。
「なんで?」
けろっとしてヴィルナードはルノに逆に問う。
「なんでって…」
想像もしない返事を受けて、ルノはどう対応するか分からず詰まった。
「まだよく知りもしない相手が怖いなんて変じゃね?」
当たり前のように答えるヴィルナード。普通の生徒のイメージで、てっきり敬
遠していくのかと思っていたルノは呆気にとられてしまう。
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